それからの孤島/石畑由紀子
 
 惜しくなったのね
  自分のことを


あなたは私の目を盗み
折りたたんであった影を広げて
こっそりと
太陽と時計のある場所へ
帰っていった


そうよ
私のものにしてしまいたかった
私だけでいいあなたであって欲しかった
私の命になってしまいたいあなたを願っていた
阿部定になれなかった私が
独り残された孤島
なのにほら
匂いなら今もそこここに
残っていて
それでまた欲情して
濡れたりもできてるなんて
かなしい



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