逆さ虹/なかがわひろか
神様が間違って作った逆さ虹
空に閉じ込められた天使と悪魔が
我先に、と七色の橋に群がる
左の空に棲む天使
右の空に棲む悪魔
下の世界には何があるだろう
人間とはどんな生き物だろう
天使と悪魔は橋を下る
アーチの先端で
天使と悪魔は出会う
それ以上は下れない
人間に一番近い場所で
天使と悪魔は諦めざるを得なかった
天使と悪魔はお互いに
うなだれながら
一つの策謀を巡らす
お互いの棲家を変えようと
天使は悪魔の棲家へ
悪魔は天使の棲家へ
神はきっと紛うだろう
天使には悪魔の
悪魔には天使の
仕事を与えるだろう
それがせめてもの仕返し
逆さ虹
神の間違えで作られた
しかし、それは本当か
神に知らないことはない
天使と悪魔の策略も
全てを見通している
それは神の暇つぶし
それは気まぐれな悪戯
神からすれば
天使も悪魔もどっちも同じ
次の逆さ虹はいつの日か
次の逆さ虹はいつの日か
（「逆さ虹」）
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