蛙声/ブライアン
れらを実行するために、人は諸感覚を切り捨てた。目で見えるものだけを信じた。目で見えるものだけを「在る」ものとした。感受しきれぬ膨大なメッセージを切り捨てることで、効率的に神、すなわち天になろうとしたのだ。人は長い時間をかけて、諸感覚に訴えるメッセージを細工し続けた。
時として、自己主張の強い中也だったと聞く。人の欲求は常に「神」へと思いを抱く。しかし、そうではなく、「融合」という行為を望んだのだ。その両義的なか感情の狭間で中也は、大地、天と融合することをひたすら望んだ。自らの欲望に逆らい、平和である選択肢を。
それは悲痛ではない。何にもまして強い決意なのだ。
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