駱駝/
たもつ
インターホンが鳴って
受話器をとる
誰も出ない
カーテンを開けて外を覗く
いつの間にか砂漠が広がっている
その真ん中を
うつむいた君が一人で歩いている
名を呼ぶけれど
窓の開け方を忘れてしまったかのように
声は届かない
もう一度受話器をとる
微かな息づかいが聞こえる
砂漠は外にではなく
君の内側に広がっていた
もし生まれ変わったら
君のための駱駝になりたい
そんなきれいごとでも
きっと君は許してしまう
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