菜の花畑/九谷夏紀
 


いつも電車の中から眺めていた
いちめんの菜の花畑
あこがれは日々つのって
あの黄色に身をうずめたい
私の何かが変わる予感がするから

電車は目的地まで
定めのままに運んでくれる
だけど今日こそは乗り捨てるよ
初めて降りる駅
なんとなくの方位を頼って

野生の菜の花畑だから
道標になるものなんてない
だから人に尋ねようもない

あのあざやかな黄色を求め
はやる気持ち
思った以上に遠くて
回り道や行き止まりばかり
少し向こうに見えているのに
出会えないまま

気付いたら海に出ていたよ

毎日電車からこの海も眺めていた
近くまで行ってみたいと思
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