スルメの人生/ひろっち
とつの転機となった。 タコとのギャップを目の当たりにして荒れていた頃だ。
馬鹿でも勉強すれば何とかなる。
悟りばかりの蒼い浅海の中でのひとコマ。
僕、スルメ。
いつも警戒はしていたんだ。
その日だって、たまたま御向かいの秋吉さんがハムステーキどうですかと言ってきたからであって。
僕、スルメ。
裂きイカにもなりきれない中途半端な時代の。
僕、スルメ。
僕スルメ。
最後に、
けっして忘れないのが、イカ子との間に生まれた長男、角倉のこと。
角倉のことだけが気にかかる。
あとは微塵も後悔はない。
噛まれて噛まれて、イカ本来の味を出すだけだ。
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