皆殺しのための100行/大覚アキラ
無からすべてが始まったというのは真っ赤な嘘で
始まりなんてそもそもなかったのだろう
すべては元々そこにあったに違いない
ただそれではあまりにもだらしがなく
物語の語り手としては都合が悪いので
なんとなく無ってヤツをスタート地点に置いてみたら
それっぽく見えたのでそうしただけのことだ
さてそうやってだらしなく始まった
否
だらしなく元々そこにあったすべてだが
あまりにもだらしなく無秩序だったので
このままではどうしようもないというワケで
そこで言葉が登場した
言葉は上手い具合にすべてに意味を与え
意味が与えられたことによって
すべてはそれなりに秩序を持った世界を形作って
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