おっぱいよ/石田 圭太
おっぱいよりも君が好きだ!
って!
おい!
あ!ほら今!
見てるか!空!空!
夕暮れがやってくるほんの手前
その一瞬の世界の空は
穏やかな肌色でお前みたいで
俺は手と足をめいっぱいに伸ばして
お前に届こうとしているよ
ほら!
ほーら!届け!
みんな
みんなみんなお前に包まれてる
安心できる世界だろう
これを恋人に読ませたら褒められた
あはは
うふふ
えへへ
ちゅっ
んっ
がばっ
すっきりとした俺は天を仰いだ
するとやはり
世界の空は穏やかなおっぱいの色をしていて
世界のおっぱいは空を穏やかにしていて
窓辺には
暖かいおっぱい光が差し込んでいた
誰かの粒子かも知れない
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