セレモニー/結城 森士
 
のだろうか
窓硝子は次第に音を立てて割れていく
あの日という瞬間は 僕達の目の前で
砕け散っていった ゆっくりと

去り行く日は 儀式を通過しなければならなかった
僕達はお互いに暖かい光を感じることは出来なかった
僕達は僕達の生きるべき炎を奪わずに入られなかった
涙が炎に落ちたとき

もう二度とそれぞれの影は交差しない
  お互いの物語を語り合うことはない

散乱しながら煌く硝子の残骸
グラスに乱射する水の屈折
炎の中を溶けていった涙
若草の匂い
涙が炎に落ちたとき
僕を締め付ける

それは儀式だった
それは僕達の儀式だった
僕達は光の中を駆け抜けていった
それは儀式だった


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