月猫/
たね。
三毛猫は憩う
幻燈の夜
羨望にすました
猫の瞳に膨らむ
ブリキの月
悪戯な黒雲が
月光の尻尾を隠し
この乳白の森を
蒼い舌で塗らしてく
魔法が解けてくようだと
きみは云う
冷ややかな蒼が
冬の爪を砥ぎ
寒い寝床へと
手招く静謐
きみは葉陰で
まるくなってる仔猫
ねえ
こっちへおいでよ
ぼくの指は
月光を吸い込む
ほら
あたたかくむいた
栗みたいな月を
あげよう
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