「 人生不信の春 」/椎名
 
悩ましげな風が吹くから
北へ歩いて行こう
暖かい空気は居心地が悪すぎる
一人じゃ何をやってもつまらない

まぶしい笑顔が街に溢れているから
地下に潜ろう
眩しくて目が開けられない
目がちかちかして涙がでそうだよ

時々ふっとわからなくなるんだ
ここにこうして存在することの意味が
進まなきゃならない理由(わけ)が

不確実な明日を信じていた
夢は見続ければ掴めると
なんとなく思い込んでいた

誰も保障なんかしてくれない明日のために
痛い足をひきずって
それでも歩き続けなきゃいけない理由(わけ)は
いったい
なんだというんだろう

夢で一杯
光で一杯の春が
今年は辛い


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