帰郷願い/山中 烏流
初めてのおつかいは
3歳の時
初めての仮想現実も
3歳の時だった
暗くなる日暮れに
何故か朝焼けを思い出す
少女だと言われたのは
いつの頃まで
だったのだろうか
モルダウの流れに
私も流して欲しい
初めてのおつかいは
3歳の時だった
初めてのお別れは
5歳の時だった筈
しとしとと降る雨も
ざあざあと降る雨も同じ
少女だと思えていたのは
いつの頃まで
だったのだろうか
モルダウの流れなら
帰してくれるのだろうか
3歳の私が
5歳の私が
日暮れの雨の中
朝焼けに焼かれながら
帰る場所を
まだ
探している。
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