たとえば歌をうたうように/ベンジャミン
うたうように
ペンがすらりと動くたび
新しく生まれてくるものに
ひとつひとつ名前をつけながら
湧いてくる言葉を滑らせる
あたたかい日差しの中で
遠くの人らが会話しながら
風が抜ける並木道を歩いて
何を話しているかわからないけれど
彼らもまた楽器みたいに笑っている
たとえば歌をうたうように
春を身近に感じながら
みんながみんな
草も木も
そして人も
みんながみんな楽器になって
それは誰もが詩人であることに似て
きっとそこに理由はいらないから
僕はその音色に
一日中 寝ることさえ惜しむように
一緒になってうたっていたいのです
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