たとえば歌をうたうように/ベンジャミン
 
うたうように
ペンがすらりと動くたび
新しく生まれてくるものに
ひとつひとつ名前をつけながら
湧いてくる言葉を滑らせる

あたたかい日差しの中で
遠くの人らが会話しながら
風が抜ける並木道を歩いて
何を話しているかわからないけれど
彼らもまた楽器みたいに笑っている

たとえば歌をうたうように
春を身近に感じながら
みんながみんな
草も木も
そして人も
みんながみんな楽器になって
それは誰もが詩人であることに似て
きっとそこに理由はいらないから
僕はその音色に
一日中 寝ることさえ惜しむように

一緒になってうたっていたいのです






戻る   Point(12)