珈琲/
たね。
硝枝はけぶる
柔らかな朝
ああ
いい匂いだ
熟睡した樹皮は
哀しみを煎て
苦味すら香ばしい風
そんな
朝もやの窓を包み
夜明けの香りを注ぐ
大気のフラスコ
朝焼けは沁みて
高揚のカフェイン
めざめの木琴は高鳴り
秒針は溶けだす
ミルクの木
かすむ街並みに
角砂糖ひとつ
硬化したパンが
浮世に詰まるのなら
飛び立てよ
ブルーマウンテン
その甘美を砕き飲め
まろやかに
湿度を煎て木陰
きみがこぼした
季節を舐めて
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