世の中と晩酌の日々/花田春菜
ハタチを過ぎて
さして美味くもない酒をたしなむようになり
大人の仲間入りをしたフリをする。
千鳥足で歩けたらいいとか
馬鹿みたいに思っていて
なのに頭の中はいつまでたっても冴えていた。
酷い話だった
アルコールでさえ俺を馬鹿にはしてくれず
一つ賢しくなっただけだった。
まったく酷い話
アルコールでさえ俺を自由にはしてくれず
一つ虚しさが増しただけだった。
それでも俺は
さして美味くもない酒を飲み続けるのだろう
大人の仲間入りをしたフリを続ける為に。
いつか大人などいなくなってしまえと
血を吐くほどに切望しながら。
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