午前三時の優曇華/はじめ
 
 空から優曇華の雪花がぽつらぽつらと舞い降りてくる
 三千年に一度の奇跡がこの世界を埋め尽くす
 それは君が無事に成仏できた証拠だろう
 君は仏になったの? それともまだ生死流転しているのだろうか?
 人々はこの神話のような現象を人目見ようと午前三時に外に出たり建物の上に乗っかって跪いて祈りを捧げている
 君はこの丘の荘厳な大神殿の王女だった
 僅か二一歳の若さで短い天寿を全うした
 美貌と才徳に優れ 先代の王から続いていた飢饉を救い仏教の普及拡大に力を注いだ
 病気を患ってからも偉大なる仏陀様の教えを忘れなかった
人々は安らぎの香りを放つ雪花を両手で受け止めた 
 すると
[次のページ]
戻る   Point(1)