良い詩を読ませてくれないか?/松本 卓也
一重に幾重に
堆積した言葉の渦に
埋もれる心があったとさ
貴方の為だとか言う
使い古されたキーワードには
傲慢さが見え隠れしているのに
恥ずかしげも無く語る
思い至る事も無く告げる
主観さえ放棄したままに
詠う心がそこに無くとも
刻まれた烙印に従うように
ただ記された証にだけ忠実
何を見ているのか問おうか
言葉の先に存在する事も無い
麗句だけを構築した挙句の果て
誰も何も知らない事さえも
誰も見ても居ない事さえも
誰も解ったふりをする事さえも
知りえない事ばかりなのに
まるでそれこそは世界の構成要素であるように
埋葬した空間だけが社会
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