春は明日の約束/たりぽん(大理 奔)
 
今日、世界が終わるとしても
教えないでいてください
怖いからではありません
やっぱりわたしは
明日の約束をしたい、あなたと

    交わされることのない言葉
    くちぐせのような夢よりも

果たされた途端に 約束は
別なものへと 忘れられ
熱のない約束は嘘や夢に似て
ただ、ながれていく

どうせ消えてしまうなら
あなたに時間を捧げて
歯ぎしりのように
胸を苦しませて
六十ワット白熱電球ぐらいの
光を放ちながら

    果たされることのない、永遠

あなたへの時間だけはながし続けて
私だけが世界の終わりを知らなくても


明日の約束

このあいだみつけた
庭のある小さな紅茶専門店で
シフォンケーキとアールグレイ
窓の外には春の花

春の花




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