押入れの安吾/
リヅ
うな男だった
しかし光に照らされた彼の影はくっきりと、黒かった
次の日、安吾は消えた
なんだか悪いことをしたような気もする
見上げれば、青い空
私はふと安吾のやけにくっきりとした影を思い出し、影送りをしてみた
黒くしっかり伸びる影を目に焼き付け空に送る
白く反転した私の影はどこまでも広がる青い空にゆっくりと溶けていった
それを眺めながら私は私の愛した空を改めてもう一度愛する
この空が安吾の上にも広がっていればいいとちらりと思った
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