雪のない冬/ベンジャミン
(真っ白な雪が見たかった)
真っ白な雪をかきわけて
地面の温もりを感じたかった
こんなにも寒いのに
雪の一つも降らないなんて
(真っ白な雪が見たかった)
すべてが無になるような感覚さえ
感じないようになりたかった
できることならその結晶の一つ
規則正しく並んだかたちの一つに
すべてを込めて融けてしまいたかった
雪のない冬は
もうすぐ終わりを告げてしまう
(真っ白な雪が見たかった)
昨日降った雨には
かすかに春の匂いが混ざっていたから
季節は移ってゆく
季節だけが
連れて行ってしまうんだ
この深い寒さと
あの深い孤独を
僕の中に置き去りにして
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