ヴォミット01/虹村 凌
遠巻きに見てはクスクス笑う
笑うな笑うなよ
お前らだって影でヴォミットするくせに
全身ヴォミット塗れで走って逃げた
転んで泣いた
知り合いに声をかけたら
「なに」
って言われてまたヴォミット
もう涙か鼻水かわからない上にヴォミット
あの頃みたいにお前の胸で一度だけ眠らせてくれ
その瞬間だけはヴォミットせずに済みそうだ
そう呟いてヴォミット
みんな遠くへ行ってしまったよ
人知れずヴォミットし続けた彼はとうとう喉に詰まらせて逝ってしまった
彼の周囲には二山のヴォミット
彼の死に顔は安らかな笑顔
世界せ一番綺麗なヴォミット
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