ぼくと自転車/望月 ゆき
自転車に乗って
ここまで 走ってきた
もう どのくらいの間 こいでいるだろう
と、いうよりも
いつから 走り始めたのかさえ
走り出した頃は
まだ ペダルも軽く
少しくらいの向かい風もへっちゃらだった
ときどき 強い風が吹いて
蛇行運転になったりはしたけれど
それでも ぼくは
周りの景色を頼りに走り続けた
よく考えたら もともと
自転車こぐのって得意じゃないんだよね
道がもっと広かったら
絶対に自転車でなんて走らなかった
途中、気の合う人たちと出会って
後ろに乗せてあげたりもしたけど
いつも 気がつくと
ぼくはまた ひとりで走っていた
い
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