ぼくと自転車/望月 ゆき
 
自転車に乗って
ここまで 走ってきた

もう どのくらいの間 こいでいるだろう
と、いうよりも
いつから 走り始めたのかさえ

走り出した頃は 
まだ ペダルも軽く
少しくらいの向かい風もへっちゃらだった

ときどき 強い風が吹いて
蛇行運転になったりはしたけれど
それでも ぼくは
周りの景色を頼りに走り続けた

よく考えたら もともと
自転車こぐのって得意じゃないんだよね
道がもっと広かったら
絶対に自転車でなんて走らなかった

途中、気の合う人たちと出会って
後ろに乗せてあげたりもしたけど
いつも 気がつくと
ぼくはまた ひとりで走っていた

[次のページ]
戻る   Point(1)