影縫い/蒸発王
 
子猫に謝って
つくろって欲しいと
お辞儀した

針と糸で
アキレス腱から足の裏まで
子猫の脚を縫い付けた


まだ沈みかかった
夕焼けの中
西のビル谷に向かって
歩いて行く
彼女と猫の影が
斜に構えたオレンジに照らされて
長く

長く
伸びていった





綻びをつくろうために
いつも
針と糸を持ち歩いている








『影縫い』

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