桜の季節としゃぼん玉/恋月 ぴの
嫌になるときだってあるよ
そう言うと
友だちは笑顔でうなづく
さほど広く無い部屋に
ふたつ机を並べ
四十六時中
お互いの気配に触れ合って過ごす
それでも机と机を隔てる
背の低い衝立が
彼と彼女の世界をやんわりと隔てあう
あれだよね
それぞれの陣地ってことかな
それとも。秘密基地
あの頃の秘密基地
ベニア板で囲っただけの狭い空間に
男の子たちと一緒になって
肩を寄せるようにして
ガキ大将を気取っていた
廃材置き場の片隅を
桜の季節は薄紅色に染め上げて
弱いものには
弱いものなりの居場所はあったよね
洟垂れ小僧のあの子がさあ
こんど
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