お祭り/はじめ
愛らしい
君と手を繋いで出店をゆっくりと回る
和太鼓を叩く規則的な音が山頂から鳴っている
男達の酸っぱい汗がここまで飛んできそうだ
ヨーヨーを伸縮させ僕の手首には赤と黒の金魚が袋の中で泳いでいる
君は雲の塊のような巨大な綿飴を顔を埋めるように囓っている
人で塗り潰されている道 みんな共有している快楽を持っているようだ
土の階段を登って 広場に出ると時間を操作している音楽に合わせて踊る人々がいた
みんな下の出店で買ったお面を付けている
涼しい風が僕らの間を通り過ぎる
夜空が近い
お祭り用の小さな花火が打ち上がった
空を見上げて君は微笑んでいた
色取り取りの花火の光が君の顔を鮮やかに彩っていた
戻る 編 削 Point(2)