王女メリサ5/atsuchan69
 
かっています。
 そこに光り輝くひとりの少年がいて、
「どこまでもついてくる気か」
 とヘレンに尋ねました。
 彼女はただ、
「うん」
 と、頷きました。
 少年の差しだした手にとられ、ヘレンはそれまで見せたこともないような清々しく幸福な笑みをうかべ、やがてふたり裂け目からまっさかさまに奈落へと落ちてゆきました。
 この少年こそ憎しみの根源、魔王だったのです。
  

  闇が全地をおおっても
  君が信じたように、

  愛は けして滅びることがなかった

  辱められても
  髪を切られても、
  僕たちはまだ夢をみている

 詩人がふたたび言葉を紡ぎました。
 そのあとをメリサが歌うように吟じました。
  
 
  やがて一陣の風がふき 涙にぬれた頬の乾くとき
  僕たちは もう、ここにいない


         






              おわり



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