王女メリサ5/atsuchan69
 
ちらを覗いていますが、その顔が徐々に遠ざかってゆきます。小屋が森の奥へむかって動いているためでした。すぐさま走り、いや、もういちど沈みゆく母の影をさがしました、水の面には波紋だけが残っています、扉をあけると転がるように戻りました。「とつぜん動きはじめたんです!」アスフィールが言いました。
「ヘレンのところへ向かっているのだわ」
「誰です?」
 床に腰をおとしアスフィールが訊きました。
「魔女の家、呪いの家です」
 髑髏のかざりのある玉座のような見上げるほどの高さの椅子にすわり、すでにヘレンはふたりを待ち構えています。 彼女は魔法をつかい、宙をさまよう白墨で人の形を赤い絨毯のうえに描きまし
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