王女メリサ5/atsuchan69
いました。すると王はにやりと笑い、酒臭い息をこぼして妃の部屋を指さしました。
すると一匹の黒猫が部屋の入り口から顔をのぞかせ、しばらくこちらを伺う様子でしたが一瞬の隙をついて飛びだすと、いきおい廊下を走りはじめました。
そのとき、
「敵だ! 我々は包囲されている!」
と誰かが叫びました。
城の高いところから、湖畔をゆくおびただしい数のモナカイの兵たちを見渡せます。
「やつらいったいどこから?」
「森だ、森にまちがいない」
「しかしあれほどの数はありえない」
また見ると湖にならぶ無数の松明がうかんでいます。
「あれは何だ」
「船のようです」
「よく見ろ! 他国の兵の
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