王女メリサ5/atsuchan69
母は溜息をつくようにかぼそい声を吐きました。
夜も更け、魔女は箒の柄にまたがり従者をよびました。
「お乗り。しっかりとわたしに掴(つか)まっていないと落っこっちまうからね」
従者は蛙の籠を片手でだいて急ぎへレンの背後に就きました。「行くよ、今からがお楽しみさ」
城の窓から魔女は箒に乗ってとびたちました。
森を見下ろして、魔女は底なしの沼のあたりに煙があるのを見ました。「ぐっすりとおやすみメリサ。朝起きたときもうこの国はなくなっているけどね、いっひひひ」
すでに魔女の家の庭に、森じゅうの這う生きもの、すなわち蛙(かえる)、蛭(ひる)、蜘蛛(くも)、蛞蝓(な
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