王女メリサ5/atsuchan69
こうして王さまは出てゆくと二度とお城には戻りませんでした。詩人アスフィールとメリサは略奪と悲鳴のつづく街をボロの服を着てさまよいました。
かしこで進駐するタルシンの兵に女たちがまとわりついて歩いています。
「やっとみつけた。かあちゃん、お願いだから家へ帰ってきてくれよ」
「とっととお帰りよ、わたしは勝手に生きるんだからさ」
「でも父ちゃん、病気なんだぜ」
「そんなの知らないよ」
はだしの少年が泣いていました。
「酷い。これが人のすることでしょうか?」
「寒空にうすい衣を脱がせば、簡単に人は人でなくなります」
「アスフィール、あなたもですか?」
「はい。き
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