白く、粥、の、/新谷みふゆ
 
ると
膨れあがった皮膚はまだ滑らかで
あたしは泣くには至らない
そんなことで朝は何もかも許してしまいそうになる
それがどれほど危ういことか知りながら
あと一歩のところまで近付いてしまう


殺人は純粋な行為だと書いてある本のことなんて
かあさんは知らない
純粋なのはセックスだけとか
赤ん坊だけとか 欲望だけとか
言う人たちのことなんて朝は知らない


なかなか冷めていかない粥の中で
忘れていかない声が湧きあがる
・・・コロシタイカラコロスンダロ?


在り方も持てないような純粋なんて
きっとただの壊れ物に過ぎない
・・・コノコタチハマモリタイアイラブユ
かあさんが決して耳に入れないような歌は
既に彼女の中に存在している
それで朝が壊れるほど埋め尽くされたならいいのに


テレビは観たく、 ない。
朝から、。 少し、 づつ、。
違う、。 もので、。 壊れていく、。 今日を、。
だから、。 あたしは、。
白く、。 熱い、。 粥、。 に、。
投げ入れ、 た、 かった、。
・・・、。
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