白く、粥、の、/新谷みふゆ
 
白く、 粥、 の、
溢れた鍋、 に、
朝の、 音楽が、 生まれ、
あたしが言葉と言葉とを繋ぎあわせられるようになる頃
脚を折ったかあさんの不器用な足音が
台所で今日をかつかつと叩く
たくあんはこの世界の光と光と・・・
全ての光を集めたような真っきいろを食卓に運んでいた


湯気は
朝の眠気も 煩わしさも
慣れない未知の時間へのわだかまりも
少しづつ天井へと持っていってしまう
おはようと言えない日の方が圧倒的に多いのに
かあさんはきれいに箸を揃えて座卓に置くので
あたしは朝御飯は食べられないとは言えなくなってしまう


熱い粥に口の中火傷したところを舌でさわると
[次のページ]
戻る   Point(5)