片空/霜天
 
例えれば
忘れられるべくして、忘れられている
約束の前の一片、踏み止まるための一線
私から出るものもの、も
忘れられるようにして、忘れられてみたい
繋げるために伸ばす手に、繋がるものを予感して
前提となる、約束もない
あるものはない、あるものにもない
私から出るものもの
おおきくいきをすって
はく

私の声が風になる
風は私になれるか
片空が少し崩れて
きっとまだ、名前もない
私は風を吐き出す、声を投げて震わせる
私は風になれたか
季節はまだそこにいるか
私は追いついているか


隠されている
そういうことにしておく
あの片空に名前をつける
呼び合えるのはここにある証明として
繋がるための声を震わす、風はいつも揺らぐ
忘れられるべくして、忘れられている
私の名前、あなたのそれ、約束の前の一片
君たちは隠されてしまった
ということにして
おおきくいきをすって
はく


約束もない
あるものにもない
吐き出される世界のかたちは
微かに揺れる風になって
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