時間は無情に/山崎 風雅
 
 季節に翻弄され
 ここは何処なのだ
 私は誰なのだ

 
 遠い記憶に兄弟で遊んだ公園が浮かぶ
 母は美人で私達の誇りで
 父は何でも出来るスーパースターだった
 母は毎日出かける前に映画の女優のようになり
 父はジャイアント馬場にさえ勝てると思っていた

  
 路地裏に入れば近所の家の子らと
 世界を征服する野望について真剣に考えていたし
 学校にいくと休み時間に何をして遊ぼうかと考えるだけだった

 
 何かが崩れ始めた
 世界がくねり始めた

 
 思春期を迎え
 大人の汚さに自分を守るため理論武装を身につけた
 それは大人を批判する鋭い刃物
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