水滸伝の彼女/シリ・カゲル
 
僕の彼女は、昨年度の
準ミス水滸伝
今年度こそは万全を期して
グランプリを獲得してやろうと
画策しているようだが
素人の僕から見ても
去年の彼女に比べて、全然水滸伝じゃない

やっぱり株の売買のしすぎがいけないのかしら?
それとも今年に入ってから
モバイトしてワークするのを始めたせい?
リビングの鏡に全身を映して
肩を落としている今年の彼女は
とにかくいちいち
水滸伝性に欠けていた

そこで僕は
深夜の水族館に彼女を連れ出し
魚たちの衆目の中で求め合って
来る日も、来る日も
一緒に水滸伝性の回復と非水滸伝性の除去に努めた

その甲斐もあってか
彼女はついに念願かなって
ミス水滸伝グランプリを獲得
日本代表として
リオデジャネイロで行われる世界大会へと旅立って行った

水滸伝的宿命的な命の萌芽とともに。
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