「 青い如雨露 」 〜薔薇と少年〜 /服部 剛
 


かっぱ姿でしゃがんだ少年 
いつものように 
青い如雨露で水をやる 

後から追いかけてきた 
頭のいい兄は 
「 雨の日は水をやらないでいいんだよ 」 
と首をひねって家に帰った 

たまたま通りかかった 
野球帽をかぶった友達は 
「アホやな、お前・・・」 
と呆(あき)れた顔で去っていった 

青い如雨露が空(から)になり 
雨のなか
とぼとぼと姿を消す 
少年の背中

花びらの上にすべる 
一滴(ひとしずく)の水を地に落とし 
微かに身を躍らせた 
紅い花 





  * この作品は「遠藤周作」加藤宗哉・著
   (慶応義塾大学出版会)を参考に書きました。 




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