「 青い如雨露 」 〜薔薇と少年〜 /服部 剛
かっぱ姿でしゃがんだ少年
いつものように
青い如雨露で水をやる
後から追いかけてきた
頭のいい兄は
「 雨の日は水をやらないでいいんだよ 」
と首をひねって家に帰った
たまたま通りかかった
野球帽をかぶった友達は
「アホやな、お前・・・」
と呆(あき)れた顔で去っていった
青い如雨露が空(から)になり
雨のなか
とぼとぼと姿を消す
少年の背中
花びらの上にすべる
一滴(ひとしずく)の水を地に落とし
微かに身を躍らせた
紅い花
* この作品は「遠藤周作」加藤宗哉・著
(慶応義塾大学出版会)を参考に書きました。
戻る 編 削 Point(14)