自由をめぐる空想/ワタナベ
もする
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僕は彼女が空を飛んでいるところを見たことがない
彼女はいつもりんと胸をはって歩いている
「飛ばない」のか「飛べない」のか
でも単純なぼくは、飛べるのに「飛ばない」はずはないと勝手におもいこんでて
きっと彼女は飛べないのだろうとおもっていた
そんな僕が彼女と知り合ったのはつい最近のことで
僕が「君は飛べないの?」と聞いたら
彼女はまぶしそうに空を見上げながら
「さぁ どうかしら?
空から見たら歩いている私はとても不自由そうに見えるかもしれないけれど
わたしはいつも自由にこの空を飛んでいるのよ」と答えた
僕は彼女がなにを言っていたかいまいちよくわからなかったけれど
そんな彼女がとてもきれいに見えたので
最近はいつも空から彼女が歩いているのをぼーっとながめては
くるりくるりと宙返りをする
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