ドラゴンの住む谷/はじめ
 
 竜の谷にはドラゴン達が住んでいる
 岩壁に洞穴をつくり
 そこで生活している
 秘境に相応しい
 人間達が訪れたことはない
 ドラゴン達は殺生を好まない
 山になっている実や森に生い茂っている草などしか食べない
 優しい性格なのだ
 火山が噴火した時
 ドラゴン達はただひたすら地に膝を付き大地の神に祈りを捧げた
 すると願いは通じたのか
 竜の谷には溶岩が流れてくることは無かった
 ドラゴンの寿命は千年ある
 ドラゴンは死する時
 遙か上空へ昇って
 大気圏で燃え尽きる宿命にある
 誰が決めたのか分からない
 昔からのしきたりなのだ
 自然死は無い
なぜ大気圏で燃え尽きないといけないかというと
 ドラゴンは死ぬ前 とてつもない程の悪寒で心臓が凍り付くのだ
 その苦しさを中和させる為 大気圏に入るのだ
 そうすれば体温は平温を保てるのだ
肉体は地球の塵となるが
 魂は流れ星になり
 誰かの願いを叶えるのだ
戻る   Point(3)