実験的感覚的その2/はじめ
 
 僕は窓から外の景色を見ている
猛然と吹雪が降り屋敷を地面に叩きつけるような強さだ
ここには僕の幸せ全てが詰め込まれている
 秘境だ
 けどその頃はまだ君を知らなかったから ここにはいない
ここにいると心が暖かい
 ここで何をしているのかというと時間の狭間でただじっとしているだけだ
 窓から睨みをきかして 僕の心の中の様子を覗っている
 時間はゆっくり流れる
 時計の針の気のままに任せている
 吹雪が止む
 僕は外の緑を見ている
 心は落ち着いているのだろうか
 季節が逆回りする
 落ち葉の敷かれた地面の温度を胸に感じる
 目に映る景色全てが愛おしく思える
 僕は暖炉の傍らにある揺り椅子に深く腰掛ける
 この世界が愛おしい
 外にはどんな世界が待っているのだろう
 僕は想像する
 僕の心は既に時は満ちたようだ
 秋の寒い朝に視線を向ける
 なぜこの季節のこの時期の風景が好きなのか分からない
 冷めかけたコーヒーを啜る
 時間の狭間に少しだけ隙間ができたような気がした
 僕は一つ確信し 再び窓からの景色に見入った
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