『福音』/しろいぬ
 


朝焼けた空に 名前をつけてみて

産まれたばかりの「今日」が高く泣いて

真っ赤に腫らした ひとつきりの瞳


泣き疲れた「今日」の 幼い手をひいて

ほら、こっちだよって

きっと、大丈夫だよって


朝焼けた空に名前をつけてみて

始まりの声に 祝福の音をのせて

もう、泣かないでって

ずっと、大丈夫だよって


やがて来る夜も 僕ら一緒だから

柔らかな陽光 奥に沁みて、いつも一緒


朝焼けた空をずっと忘れないで

産まれてきた「今日」と僕を

祝福した産声を

ずっと忘れないで
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