贖罪/智鶴
確か、そう
夏の寝苦しい夜だった
湿度に負けた星達を見上げながら
ある種の期待をした
瞬きなど、とうに忘れてしまったのだろう
湿気たような星が
無表情のまま夜空に貼り付いている
切れ切れに浮かぶ雲は
それを隠しているかのようで
その下では
まだ私は、貴方を
ちょうどこんな夜だった
切ない貴方の背中を
きつく抱き締めてしまいたかった
涙を拭って
髪を撫でて
貴方を抱き締めてしまいたかった
例えそれが罪であろうが
悪であろうが
貴方を
あの時愛することが出来たなら
他の誰でもない
貴方を
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