通夜/長月 猫
 
深夜0時
訃報が届いた
別に特別親しいわけでもなかったが
よく世話にはなっていた人
多分俺なんかよりずっと長生きする
そんな確信じみた思いすら抱いていた
そんな人があっさりと逝ってしまった
病気だった?
聞いてねぇよ
入院してた?
聞いてねぇよ
目の前に横たわる亡骸
俺の知ってる顔より少し痩せてた
声をかけることもできなかった
だから俺は忘れない
今日この日のアナタの姿を
俺の知る限りのアナタのことを
俺が死ぬときまで忘れはしない
遺された俺にできるのはそれだけだから
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