針葉樹/千波 一也
 


よみがえる言葉を
踏みしめながら
いつの季節もささやかに鳴り


 のびゆくはずが
 逃げてゆけないものへと
 落ち着いてしまった

 あたらしく
 おとを試して、
 更なる空をおいもせず


結び目だけは
ていねいにしなさい、と
去りゆく風から
見つめられ

足音だけが沈みこんでゆく
それが、くれない


 いつからが、つち
 いつまでがつち


燃えるとするならば
両手はいかにも砂のいろ
きびしさに負けてしまうまで
孤独は、枯れて


 いのりの数を
 おだやかにそそぐ雨は
 みがわりの
 羽

 無言のなかでも、
 あきらめを棄てながら


他人を絡めるゆびさきの
目覚めとともに
森はある

たとえ閉じゆくさなかでも
さいごのおとには
だれかが
続く、

ふかき護りに






戻る   Point(14)