ある日のこと/RIKU
リスさんは、お散歩の途中で、道のはしっこにしゃがみこんだうさぎさんに出会いました。
「うさぎさん、うさぎさん、こんな所で何をしてるの?」
うさぎさんは答えません。
「うさぎさん、うさぎさん、どうして泣いているの?」
うさぎさんの足元に、小さな小さな水溜りができていました。
「あのね…」
ぽつり、と、うさぎさんは話し始めました。
「あのね、心に、穴が空いてるの。みんなといるとき、その穴は何かで塞がっていたんだけど…」
リスさんは黙って聞いています。
「みんないなくなっちゃったの。そうしたらね、心の穴を塞いでいたそれは、かりそめだ
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