赤い夢/草野大悟
 
きゅうじつに
おもいっきり
あせをながし、
ふたりで
ろてんぶろにはいって、
あおぞらを
ぼんやりながめるのが
ぼくらは
とても
すきだった。

手術の失敗が
ぼくらの
すべてを
奪い尽くした
平成十七年十二月八日
ぼくらは
ふたりで
あおぞらに銃口を向け、
ピストルの引き金を引いた。

あおぞらは
こなごなに
くだけちり、
シャラシャラ
シャラシャラ
わらいながら
それぞれの
うちゅうに

かえっていった

でも

ぼくらの
あおぞらは、
そのまま
地上に落ち、
今も
どくどくと
青い血を
ながしつづけている。

その血が
人色に変わって、
いつの日か
きっと
今が
楽しい想い出になることを
信じて
ぼくらは
今日も
赤い夢を追う。




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