死後に関する幽霊の考察/野火 後里
 
うにはあまりに頼りないこの状態。その気になれば行きたいところへ一瞬で移動できるらしいのだけど(わたしはそれをある鳥から教わった。話すと長くなりそうだからここでは省略)その移動手段をわたしはあまり好まない。考えてごらんよ、試しにここからUSAのディズニーランドまで吹っ飛んだら、わたしの成分どれだけ縮んじゃうんだろう!変身しすぎて元の姿が分からなくなる怪人の心理と少し似てるね、これは。行かなかった所へ知らなかった手段でぽんぽん移動したら、生きてた感覚(間隔、でもいいかもしれない。この場合)を忘れてしまう。そうすると「わたし」はなにがなんだか分からなくなって薄れてしまう。だからわたしは歩く速さで、なじみ深い道を、ぶらぶら漂っている。もうすぐ何週目かの自宅に到着する。
 涙だってこぼれない。本当に、わたしは一体なんなのだろう。ていうか、来るならさっさと迎えに来てください神様。神様?それってわたしの場合、誰にあたるんだろう。
ああ、また帰宅してしまった。

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