どこかで犬が吠えている/山崎 風雅
 

 ぼやけた日常の階段を昇る
 朝日が眩しい
 夕陽に涙が滲む
 留まることを知らない月日に
 忘れ物は山となる

 積み重なる年月の重み
 そうあってほしいと願う心は
 時に裏切られ
 堰を切った本流のように
 流されていく

 頭上の星は見守ってくれている
 息をつまらせる出来事に
 くらくらする意識のなかにあっても
 自分を曇らしたくなくて
 冷たいコーヒーを流し込む

 ひたすら泳いだ妄想の海
 手を振っている友
 檄をとばしてくれる友
 呪いから放たれて
 自由の世界に羽ばたく

 瞳を閉じて明日を想う
 暖かな肌の温もりを探し続けて
 この世の掟を無理強いするのは止めて欲しいから
 新たな道を探るんだ
 
 ほらどこかで犬が吠えている


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