「何処でもない場所」 (青年詩片)/ベンジャミン
何処でもない場所は
何処にもない場所ではなくて
そこには一輪の花が咲いています
それはとても美しく咲いていて
なかなか近づくこともできなくて
あるとき鳥が一羽やってきて言いました
僕は羽ばたかなかった
僕は鳴かなかった
僕は叶わなかった
それはまるで暗号のようでした
何処でもない場所で
何処にでも在りそうな夢を見ました
そこは見覚えのある場所で
そこには一輪の花が咲いていて
それはとても美しく咲いていて
まるで鳥になったような僕は
羽ばたくようにかけよって
夢が叶ったように喜んで
とても嬉しそうに鳴きました
目が覚めて
それが夢であったことに気づいても
僕は泣きませんでした
何処でもない場所で
それは何処にでもある場所でしたが
僕は飛ぶこともできませんでしたが
そこに咲いている一輪の花が
とても美しく咲いていることを
声を渇らすように
歌にしようと決めました
何処でもない場所で
あなたに出会えた喜びを
綺麗な記憶にするために
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