マヒンドラとマヒンドラ/シリ・カゲル
マヒンドラとマヒンドラは
おなじ日、おなじ時間
おなじ名前の病院で
この世に生を受けた
唯一違ったのは
マヒンドラが産まれたのは
北部の国立ガネーシャ病院で
マヒンドラが産まれたのは南部の
私立ガネーシャ産院だったということ
それからというもの
マヒンドラが吸っている空気は、いつも
どこかでマヒンドラが吐き出したものだったし
マヒンドラが飲んだ水は、いつか
どこかでマヒンドラが排泄したものだった
やがて
マヒンドラは国立大学に入学し
そこで出会った将来有望の
男子学生と交際を重ね
６年後にロンドンで結婚をした
いっぽう、マヒンドラのほうは
インターナショナルスクールを卒業してから
単身渡米
就職した一流商社で知り合った
マイノリティの米国人男性と
職場内結婚をした
マヒンドラとマヒンドラの人生は
それぞれにとても充実した
素晴らしいものだったけれども
しかしひとつだけ残念なことに
彼女たちの人生は
置換可能な人生だった。
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