やさしい人になる/
野火 後里
君がひっそりとやさしい人になる
誰も気づかないうちに
日が射して去っていくように
教室の片隅で
冷えた空気を少し弛ませて
小さな出来事だった
草の芽が最初に与えられるお水のように
目が潤んでいて
あぁ、息づいたのだ
君の中の
柔らかな種が
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